世界は理想で動いていない。
力ある人が大きな影響力を持って各界を動かしている。
世界はそんなもんだ。
自分も色んな手法を駆使して、超高齢社会を生きる日本が幸せであるように影響力を持ってやっていこうと思う。
そんなわけで読んだ。「影響力の武器」★★★★★ロバート・B・チャルディーニ。
情報が山ほどあるこの現代社会において、これほどまでに人間は自動的に反応してしまっているとは!!!
情報が多すぎてすべての分野で情報を自分で収集し、判断するなんてことはできない。
「高いものはいいもの」と判断したり、「専門家が言うから正しいはずだ」といった考え方は基本的には自分に有益に働くが、悪用されると簡単に騙されてしまう自動反応とも言える。
その自動反応を引き起こす影響力の武器は6つあり、
①返報性のルール、②一貫性とコミットメント、③社会的証明、④好意、⑤権威、⑥希少性だ。
その詳細は本書に譲る。実験やエビデンス満載で、「あぁ、こんなことやられたら負けちゃうよ」と思ってしまうものばかりだった。
僕が一番面白いと感じた実験はコピーを取る時の話。
人に何かを頼み事をする時には理由を添えた方が成功しやすくなる、というもの。
普通に「5枚だけなんですけど、先に取らせてもらえませんか?」とお願いしても60%の人しか取らせてもらえなかったのに、
「5枚だけなんですけど、急いでいるので、先に取らせてもらえませんか?」とお願いすると94%もの人が先にコピーを取らせてくれた。
そして最も興味深いことに、
「5枚だけなんですけど、コピーを取らなければならないので、コピーを先に取らせてくれませんか?」と言って頼んだところ93%が同意したのだ。
この、「コピーを取らなければならない」という言葉には全く意味がないのにも関わらず、「要請+理由」という形になったとたん、自動的に承諾してしまったのだ。
このように自分では意識していなくても、自分と似た人がやっていることを自分もしてしまったり(社会的証明)、たとえでたらめであっても数少ない限定品ですと言われるとほしくなってしまうものなのだ(希少性)。
みんなも一度は使ったことがあるはず。こういった影響力の武器は日常生活に溢れている。
たぶんこれからも使うことになるが、乱用せずうまく使うためには、説得や要望が「真摯である」ことが大事と思った。
無理矢理買わせていたり、一方的な要求をしていると思うと僕は心苦しくて全然できないけど、
それが本当に相手のためになっている、またはwin-winの形になっているものであれば、影響力の武器を行使してもいいと思う。
なかなかの良書だった。興味が湧いた人は是非読んでみてほしい。2800円するけどね(笑)