検査よりも問診ー高齢者の健康寿命を1.3倍予測

少し前になりますが、私が執筆した論文がアクセプトされ、雑誌に掲載されました。

「高齢者総合機能評価は健診よりも健康寿命喪失を予測する:JAGESコホート研究」というタイトルです。ざっくり言うと、「検査よりも問診が大事だよ」という話ですね。

医師が診療するときには、問診(話を聞くこと)と身体診察で診断の8割が決まると言われています。同じように多くの人の健康状態を測る健診においても、問診が大事だという話です。

実は健康診断では異常を見つけられても、その後の指導にはあまり効果がないと言われています[1]。イギリスの有名な雑誌に掲載された論文のタイトルは「健診はリソースの無駄使い」とまで書かれています[2]。それに対し、高齢者に問診して様々な面をチェックする高齢者総合機能評価(CGA)というものを用いると、健康寿命が伸びるという報告があります[3]。

もし問診の方が健康寿命を予測するならば、針を刺したりして侵襲性が大きく、コストも大きくかかる健診には疑問の余地が生まれます。話を聞くだけで健康寿命が十分わかるなら、それに越したことはないですよね。

そこでこの研究では、高齢者約1万人に健診と問診票による調査を実施し、その後3年間追跡調査しました。

その結果は、健診での検査結果よりも、問診結果の方が高齢者の健康寿命を1.3倍予測することが分かりました(下図)。

日本において検査ばかりに重きを置かれている節がありますが、高齢者の健康寿命を伸ばすためには検査よりも問診を行うCGAの方が重要である可能性を日本で初めて報告しました。

昨今テレビで健康番組が多く、健診結果に過剰に反応する人をよく診察するのですが、実際のところ、検査結果よりも元気にしているか、体重が減っていないか、地域の人と交流しているか、趣味活動をしているか、運動しているかなどを聞く方が大事なんです。

この結果が、超高齢社会を迎えた日本の健診のあり方を問い直す鍵となればと思います。

 

[1]Krogsbøll LT, Jørgensen KJ, Grønhøj Larsen C, Gøtzsche PC: General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease. Cochrane systematic review and meta-analysis. BMJ 2012; 345: e7191.
[2]Braillon A, Bewley S, Pisinger C, Fisken RA, Richmond C: NHS health checks are a waste of resources. BMJ 2015; 350: h1006.
[3]Ellis G, Whitehead MA, O’Neill D, Langhorne P, Robinson D: Comprehensive geriatric assessment for older adults admitted to hospital. Cochrane Database Syst Rev 2011; (7): CD006211.

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