月別アーカイブ: 2018年10月

検査よりも問診ー高齢者の健康寿命を1.3倍予測

少し前になりますが、私が執筆した論文がアクセプトされ、雑誌に掲載されました。

「高齢者総合機能評価は健診よりも健康寿命喪失を予測する:JAGESコホート研究」というタイトルです。ざっくり言うと、「検査よりも問診が大事だよ」という話ですね。

医師が診療するときには、問診(話を聞くこと)と身体診察で診断の8割が決まると言われています。同じように多くの人の健康状態を測る健診においても、問診が大事だという話です。

実は健康診断では異常を見つけられても、その後の指導にはあまり効果がないと言われています[1]。イギリスの有名な雑誌に掲載された論文のタイトルは「健診はリソースの無駄使い」とまで書かれています[2]。それに対し、高齢者に問診して様々な面をチェックする高齢者総合機能評価(CGA)というものを用いると、健康寿命が伸びるという報告があります[3]。

もし問診の方が健康寿命を予測するならば、針を刺したりして侵襲性が大きく、コストも大きくかかる健診には疑問の余地が生まれます。話を聞くだけで健康寿命が十分わかるなら、それに越したことはないですよね。

そこでこの研究では、高齢者約1万人に健診と問診票による調査を実施し、その後3年間追跡調査しました。

その結果は、健診での検査結果よりも、問診結果の方が高齢者の健康寿命を1.3倍予測することが分かりました(下図)。

日本において検査ばかりに重きを置かれている節がありますが、高齢者の健康寿命を伸ばすためには検査よりも問診を行うCGAの方が重要である可能性を日本で初めて報告しました。

昨今テレビで健康番組が多く、健診結果に過剰に反応する人をよく診察するのですが、実際のところ、検査結果よりも元気にしているか、体重が減っていないか、地域の人と交流しているか、趣味活動をしているか、運動しているかなどを聞く方が大事なんです。

この結果が、超高齢社会を迎えた日本の健診のあり方を問い直す鍵となればと思います。

 

[1]Krogsbøll LT, Jørgensen KJ, Grønhøj Larsen C, Gøtzsche PC: General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease. Cochrane systematic review and meta-analysis. BMJ 2012; 345: e7191.
[2]Braillon A, Bewley S, Pisinger C, Fisken RA, Richmond C: NHS health checks are a waste of resources. BMJ 2015; 350: h1006.
[3]Ellis G, Whitehead MA, O’Neill D, Langhorne P, Robinson D: Comprehensive geriatric assessment for older adults admitted to hospital. Cochrane Database Syst Rev 2011; (7): CD006211.

誰もが学ぶべき「学び方」についての学び

先日「学び方について学び」を得てきました。

友人のまーぼーこと古瀬正也氏のfacebookが盛り上がっており、アーリック・ボーザー著の「Learn Better」の読書会に行ってきました。

会に参加し始めた時、なぜ私は、この会に参加したのか改めて自分に問いました。

そして大きく2つ目的があることに気づきました。

①子育てのため

まだ生まれてはないんですがw子育ての要点を、一つ一つのテクニックや戦術に惑わされず、全容を知った上で、体系立った軸をベースに教育したいと思いました。

②高校生向けの講演のため

ちょうど明日に中高校生に講演する機会があり、中高校生の学びのためにどんなことを話すべきか参加する前に悩んでいました。またワークショップも予定しており、読書会でのワークショップのやり方が私の知らない方式を採用していたので、それがどんなのか知りたかった面もありました。

一応付け足しとしては自分自身の学習効率を上げるためという意図もありました(そして想像以上に自分の学びになりました)。

 

学びにおける6つのフェーズ


Lean Betterによると、学びには6つのフェーズがあります。

①価値を見出す(Value)自分にとって、これは重要だ!と思う。
②目標を決める(Target)目標を決め、プロセスに分け、計画する。
③能力を伸ばす(Develop)実行する。モニタリングやフィードバックする。
④発展させる(Extend)基礎から踏み出して、知識を応用する。要約、人に説明、発表など。
⑤関連づける(Ralate)すべてがどう噛み合うかが分かる。構造の理解。
⑥再考する(Rethink)見直す

以下に①~⑥の学びを羅列します。

 

①価値を見出す(Value)


価値を見出すこと。これが最も重要
・価値を見出すには、「自分との関連性」が必要。関係のあることに、価値がある。
意味のない学びほどつまらないものはない
・モチベーション=費用(コスト)+効果(価値)+期待感
・大事だと言われても逆効果のことがある
・理性と感情(情動)で人は動く
・知的努力には、伝染性がある(同調圧力のいい側面)
→例)エリート校の成果を支えるのは同級生(※校舎、先生、カリキュラムではない)

 

②目標を決める(Target)


・学習は、順序立てて、プロセスを追って行うもの
・一つ一つ進めていくためには、計画や目標設定が必要

 

③能力を伸ばす(Develop)


・自分を改善する方法を探さない事が多い
→例)小学校を卒業してからは真剣に字の練習をしない
・モニタリングとフィードバックが重要
→悪い例)バスケの練習で、入った本数も記録しない
→良い例)医療チームが、手術中のミスをすべて書き出す
・フィードバックは徐々に少なくするとよい
・常にレベルを上げていく。少し背伸びした状態になるように

 

④発展させる(Extend)


・学習とは、外から脳にしまい込むことではない
・学習とは、生産活動(結びつけるプロセス)である
→悪い例)マーカーを繰り返し引く、繰り返し読む
→良い例)要約する、ブログにアウトプットする
→良い例)高校生の授業でインターネット上に作品集を作る
・多様性のある環境で違いに気づき、人は賢くなる

 

⑤関連づける(Ralate)


・専門知識とは、表層の知識や単体の知識ではない
専門知識とは、体系化・ネットワーク化かれた知識
・専門知識があると、つながりや関係性が見えており、応用することができる
・習熟すると無意識化し、脳に空きスペースができてさらに深めることができる
・学習するとき、脳では、既にある知識+新しい知識を「束ねる」イメージで行われる
・メタ認知、俯瞰的にみられるとよい

 

⑥再考する(Rethink)


・専門性を深めるほどに、自分が正しいと思いがち
・常に考えを見直す必要がある

 

学び方を学ぶと、どんなことにも応用できます。人生100年時代なので、生涯学ぶことを考えると、その学び方に関する知識を持っておくとよいと思います。

今回まさに、学び方に関する断片的な知識がつながり、自分の中で学び方について知識を束ね、体系化することができました。

一番大事なのは、やはり「価値を見出すこと」ですね。意味のない学びほどつまらないものはありません。

子育てにおいても同じです。子どもに意味に気付かせてあげられるかもしれないですし、最も大事なのは何に意味を感じたかを見て、それを追求させてあげられる環境を整えることだと思いました。

インキュベーション施設は寮みたいなもの

押上にあるインキュベーション施設に行ってきました!

Center of GARAGEは、ベンチャー、町工場、大企業の三者連携を実現する、リアルテック・ベンチャーのインキュベーション施設だそうです。研究開発型や、ものづくりに特化した世界中のベンチャーに対して、イノベーションを加速させるためのあらゆるサポートを提供してくれるみたいです。

シェアスペース。ガレージを改装していて広い。

個室もありシェアスペースもあって、イベントスペースもあって、同じようなフェーズの仲間がいて、寮みたいな感じが好きです。

研修医時代に寮生活をしていて、とても楽しかったのを思い出します。

また「エリート校の成果を支えるのは同級生」。

校舎、教授やカリキュラムは二の次です。

こういうところでやると、いい情報や刺激をもらって頑張れるんですよね。

私も現在東京都が支援してくれているASACに入居していますが、本当にいい環境です。

昨日はこのCenter of GARAGEに入居しているNeurospaceの小林さんと飲んできました。

睡眠×テクノロジーで、良質な睡眠が取れるサービスを作っています。

資金調達をすでに何回もしており、チームは9人程度で売上もしっかりあがっていてすごいです。

ヘルスケアにおけるB-B-Cという同じビジネスモデルでやっているのでためになる話を沢山聞かせてもらえました。

PR活動に力を入れ、まずは一社にうまく導入してもらって、そこから広げていけば、行ける気がしてきました。

起業家同士の交流はいいですね〜。当分はそんな場所を提供してくれる施設でやっていたいです。

「幸せな」金持ちになる秘訣。10年ぶりに読んだユダヤ人大富豪の教え

もうすぐ引っ越しをするので、連休は家の片付けや新生活に必要なものを買いに行ってきました。

本棚を整理するために、リサイクルに出すものと持っていくものを分けているのですが、面白い本はすらすらでも全部読み直してしまうので時間がかかります(笑)

その中で特に胸に響いたのが「ユダヤ人大富豪の教え」でした。

会計、法務、営業、PRなど起業に必要な知識を得る本ではなく、自分の在り方を示す本を久しぶりに読んだ気がします。

大学時代を思いだすようで心地よく、今読んだからこそ得られる新たな示唆をもらえました。旧友から譲り受けた本で、これは次の人生にお供させようと思います。

 

「ユダヤ人大富豪の教え」からの学び


この本は実話をもとに20歳の主人公が、渡米中にユダヤ人大富豪の老人から「幸せな」金持ちになる秘訣を色々と教えてもらうスタイルで話が進みます。

色んな本で似たようなことが書いてありますが、この本は余計な情報が削ぎ落とされていて、本当に大事なことだけを分かりやすく書いてあります。

大学生の頃に読んだ時から色んな経験を経て、書いてあることの意味が分かったり、実体験として納得することばかりです。

例えば、ビジネス成功の5原則を以下の5つに分けています。

1.好きなことを見つける
2.そのビジネスで成功に必要なことをすべて学ぶ
3.小さくスタート、短期間で大きくしない
4.儲かるシステムを作る
5.自分がいなくても回るシステムを作る

この5つのうち私は1はやってきて、2と3を実践中です。4をなんとか実現しようと模索中で、5はまだ先ですね。

この他にも、

スピーチの天才になりなさい。どこに行っても、自分の考えを1分ではっきり、さわやかに感情に訴えて話せるように準備しなさい。

と書いてありますが、私自身自分の事業を1分(や10秒)でプレゼンしないといけない場面も多く、必要性を感じています。感情に訴えるのが大事ですね。もっとできるようにしたいスキルです。

またシンプルにビジネスの本質として、以下の2点を心に留めておきたいと思いました。

君が提供したサービスの量と質=君が受け取る報酬額

ビジネス=人がお金を払ってもいいと思えるくらい価値あるサービスやものを提供すること

予防医学はビジネスにしにくいと言われますが、お金を払っていもいいと思ってもらえるサービスやモノを提供できれば、予防医学だろうと上手くいくということです。

 

売れるのが当たり前というイメージをもつ


ユダヤ人大富豪は営業のスペシャリストであり、営業において一番大事だと言い切ったのが「イメージ」です。

ものを売るときは、売れるのが当たり前という感じをもつことがいちばん大切だ。この素晴らしい商品なら間違いなく飛ぶように売れるとイメージすることだ。

これから私が実際に製品を売っていくときに、意識したいと思いました。

また一人ひとりを大切にするとよいことが腑に落ちる考え方として、

「300人の知り合いがいれば、その先に300×300=90,000人がいて、その先に300×300×300=27,000,000人がいる。」という話がありました。

実際にfacebookで友達は300人以上いますし、その友達にも300人以上いることが多いです。

周りを大事にすれば、知り合いの知り合いの知り合いまで辿るだけで2700万人いる計算です。実際には友達はかぶりますが、それでも1000人以上友達がいる人もいたり、その先まで伝わることも考えれば、波紋のように広がると考えていいでしょう。

本当に素晴らしいもので、心の底から買った方がいいと思えるものを作れば、人づてに売れていくわけです。

 

尊大にならずにセルフイメージを上げる


もちろん本著ではサービスが売れるイメージだけでなく、セルフイメージの大切さにも触れています。

私は、偉そうにしたくないという気持ちが強く、高いセルフイメージを持つこととの両立に難しさを感じるのですが、よいセルフイメージはありありと描いて、実現していきたいですね。

「ビジネスで運動器疾患予防に立ち向かう新進気鋭の起業家医師」という感じでしょうか?

書いていて恥ずかしい(笑)

でもまぁ、気づいた折々でセルフイメージを上げていきます。

ワクワクするような目標を立て、目標を達成したところをイメージして楽しむ。目標を細分化し、具体的な行動ステップに落とし込む。

 

10メートルの高さを1回のジャンプで飛ぶことはできない。だが、30段の階段をつければ、なんてことはないんだよ。

 

当たり前のような本質をひと通り見返すことができる名著でした。